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スタッフ見聞録

2011.9/28-10/08☆
圧巻!秋のアイスランド

ラキ・クレーターへ

アイスランドには130の火山があり、そのうち10の火山が定期的な噴火を繰り返しているとか。
最も活発なヘクラ、最も危険なカトラなど、それぞれに一定の周期があります。
火山の話になると、あの時はどうだった・ああだった、そろそろあいつがヤバイとか、近年の噴火の話や今後の予想など、アイスランダーは熱っぽく語ります。 今日見に行くのは、約230年前に有史以来世界最大と言われる噴火をした、ラキ火山です。
後にも先にも、アイスランドだけでなく全人類の歴史において、これほどの噴火はなかったと言われる歴史的な場所です。
さて天気は・・・うっすらと晴れ間が見えています。何とかなりそうです!
本館2Fのレストランにて朝食。
窓が大きく取られ、よい眺めです。
ここでもこの並びのバーでもオーロラハントが可能だと思います。
やはりありますね。
アイスランドの国民食スキールとサメの肝油LYSI。
今日は途中で食べるところがないので、朝食のパンとハムやチーズなどでランチを作り、持参しました。
さて出発です。
光が差してきました・・・!
ラキへ向かうラフ・ロード、F206の入口。
T氏はこれから走る路面状況を考慮して、タイヤの空気を少し抜いています。
サインボードに書かれているのは、ここから先へ向かう車への警告。
四駆以外はダメ、オフロードの走行は禁止、などです。
ラキへの道は水の浸食で道が道じゃなくなっていることもザラ。
さらにこんな川を幾つも越えて行かねばなりません。
おおおお。
川越えは海外からの旅行者にとって、楽しみのひとつ。
この写真を撮るには、一度渡ってから私だけ降りて、彼にもう一度渡ってもらう必要があります。
これは彼の提案でした。
いつもお客さんにそう頼まれるんだそうです。
水かさが増して深くなることもある川を安全に越えるには、このくらい車高が高くしっかりした車でないとスタックするそうです。
実際この車、身長172cmの私でも乗り降りが大変なくらい。
乗るときはよじ登り、降りるときは地面に向かって飛ぶ。
小柄な人のためには、ちゃんと踏み台を用意するとのことでした。
車酔いする人は絶対無理な道を奥地へとぶいぶい行きます。
ランドマンナロイガル周辺で見た、苔また苔の世界へ入って行きます。
波打つ緑の海。
そっと手の平を乗せてみると、しっとり&フカフカ。
そしてほんのりと温かさが伝わります。
苔と人類の触れあいの瞬間です。
その温かさは手が記憶しています。
この広大な大地のカーペットは、隅々までみな生きているのです。
圧倒的なモスの緑と黒砂の大地をじわじわと登り、うねりながら1時間半くらい走ったでしょうか。
いよいよラキ・クレーター群が見えてきました。
この色と形…何かに似ている・・・。
破裂して焦げたモチ?に抹茶をまぶしたって感じですかね。
手前のサインはハイキングコースです。
この辺りには4つのハイキング・トレイルがあります。
まずはその1、ラキ頂上へ登ります。
パーキングエリアには2つのトイレがありました。
9月末で一応シーズン終了、トイレも鍵がかけられるそうです。
写真のスペアトイレにも針金がとめてあったのを、やっとこさ外して使わせてもらいました。
水洗ではありませんが、清潔でちゃんとペーパーもありました。
さて、30-40分の登りスタート。
天気は晴れと雨と曇りを15分おきくらいに繰り返しています。
この時は幸運にも晴れモードになりつつありました。
頂上付近から見る、ラキ・クレーター。
1783年の春の大噴火では、なんと25kmに及ぶ距離で130個の火口が出現しました。
一列に並んだ火口の様子がよく分かります。
反対側にも火口群が続いています。
頂上からの眺望は360°。
風が強烈で冷たくなければゆっくりしたいところです。

月並みな表現ですが、神々の領域を垣間見るひと時。
下る方が景色がよく、足元に注意しつつも見とれてしまいます。
話を噴火に戻しますが、その時の噴煙と溶岩の量は半端じゃなく、アイスランドの全家畜の半分は死に絶え、人口の5分の一が犠牲になりました。
当時アイスランドを統治していたデンマーク王から、住む場所を与えるから移住して来たらどうかと申し入れがあったのを、アイスランド人は断ったそうです。
噴煙は8か月に及び、アイスランドどころか北半球全体に影響を及ぼしました。
太陽光が遮られ、冷害と飢饉は遠く日本やアラスカまで巻き込み、フランス革命の原因のひとつになったとも言われています。日本ではこの年、天明の大噴火と大飢饉がありました。
降りている途中で本日初めて、我々以外の人類に遭遇。
レイキャヴィークから休暇で来たという夫婦が登って来ました。
いつも10月に旅行するんだよ。観光客がいなくなって静かで、気候もまだまだいいしね。今ぐらい(10月初め)は最高だよ。
なるほどね(大きく頷く)。
日本から来たの?行ったことあるよ2回、仕事でね。
そのうちアイスランダー同士で話し出すともう止まらない・・・。
・・・寒いっちゅうの。
下山して、クレーターの裂け目を歩いてみる。
ハイキング・トレイルの2と4はこんな感じの小山を登って降りるルート。
ぱっくり口を開けたクレーターを覗き込み、どこまでも続く溶岩と火山灰と苔の世界を見渡します。
やはり晴れてくると水場は美しいです。
花火みたい。
火山灰の大地にも植物は生えて花を咲かせていました。
最後のハイキングトレイル3は神秘的なレイクから。
緑がかった深い水の色は大変美しいものでした。
ここだけボードウォークがありました。
T氏とはここでしばし別れ、小一時間のハイキングは一人で。
このトレイルはループではないので、T氏はトレイル終点へ車で先回りすることに。
ここのモスもすごかった。
これだけ育つのにどれくらいかかるのかと、後でT氏に尋ねると、
228年、と即答。
つまり大噴火の後、大地が冷えて徐々に生命が復活して以来ずっと。
モスは羊も食べないし人が来てこの上を歩くこともなく、他にこの環境で生きられるものもいない。
苔に支配された世界です。
湿地帯の周りだけ、草が生えていました。
紅葉というか少し赤みを帯びて、苔生した溶岩と青い沼と共に、見ごたえがありました。
風がやんで、この風景を際立たせるかのような静寂が訪れました。
しばし見とれてしまった、自然の芸術。
このトレイルは終始平坦で歩きやすく、とても楽しめます。
終点近くではむき出しになった赤い土と緑の対比が鮮烈でした。
再び車に乗って、徐々に下って行きます。
帰路も素晴らしい景観が広がります。
大分下って来たところで立ち寄った滝、ファグリフォス。
ここもついでにしてはすごかった。
えぐられた地形が手に取るように分かり、びっしりと緑で覆われている。
こんな景観は見たことがないです。
規模は小さいものの、デティフォスを思わせる落差の大きい滝です。
柵など無いからキワキワまで行くと足がすくみます。
ここでコケたら・・・。
水がかかるので植生が豊かでした。
これは花?すごくシックできれいでした。
小川の淵にはちいさな秋景色。
ベリーがまだ結構残っていました。
最後に訪れた渓谷。
これがまたすごかった。
後で調べたらアイスランド中で最も美しいと言われる渓谷だとか。
アイスランド中の渓谷を見た訳ではありませんが、確かにそうに違いないと思いました。
しかし。地名、読めない。
アイスランドでは、普通は空の上からやクルーズとかで初めて見られるようなものが、いきなりひょっこり現れるののでビックリします。
ここは先に訪れた滝とはまた違う場所です。
この渓谷はまじかで岩肌や水の色合いが感じられ、すごいインパクト。
ここもやはり苔の緑が素晴らしい。もう何というかゴージャス。いえ言葉になりません。
渓谷の上は牧草地になっていて、羊たちがバギーで追われてお家へ帰るところ。帰りたくない逃走羊が下の方に見えています。
こんなジャンプ台みたいな場所がいくつもあります。
国道1号線まではわずか数キロです。
冬季や天候・道路状況でラキへ行けない時でも、この渓谷と滝は行けるので短時間ですごい景観が楽しめる、よいコースになると思います。

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