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スタッフ見聞録

2011.3/30-4/08☆
沿岸急行船最北部とアビスコ&ロフォーテン


沿岸急行船
沿岸急行船又はフッティルーテン又はコースタル・スティーマーは、1956年から2003年建造までの11隻の船で運航されています。
今回はトロール・フィヨルドという2002年建造の、最新型シップのひとつ。
荷物検査もセキュリティチェックも何もなし。
パスポートもチケットのチェックもなし。
ふっつーに電車に乗るように乗ります。
とりあえず乗ってから、レセプションでチェックインします。
このときも特に記入する書類とかはなく、写真のカードキーをもらうだけ。
このカードキーが船内でのIDになり、クレジットカード代わりになります。
まだキャビンの準備ができていないということで、レストランへ。
キルケネス発は12:45ですが、乗船日のランチから料金に含まれています。
朝と昼は予約なしのバッフェスタイル。ノルウェーらしくサカナも豊富で、スモークや酢漬け、トマト煮などもありました。幾つかのメインに加え、サラダやフルーツ、デザート、ソフトドリンク、コーヒー・紅茶が含まれます。
ここでノンアルコールビールを頼んだ時、カードキーにクレジットカードを登録しました。
船内ではこのカップを持っている人をよく見かけます。
このカップを購入すると(215クローネ)、カフェテリアにあるセルフサービスのコーヒー・紅茶を無制限に飲むことができます。
サーモカップなので保温力が高く、熱々の飲み物をキャビンや展望デッキで楽しめます。
船の名前が書いてあり、自分のおみやげにも最適。
海側のキャビンを利用しました。

景色が良くなるとサンデッキに出るので、自室の窓から外を眺めて過ごすということは基本的にはないと思います。
部屋の窓は視界が限られ、ガラスにはどうしても汚れが付くので撮影にも向きません。
では内側キャビンでよいかというと、やはり外の様子を確認したり自然の光を取り込むのに窓はぜひとも欲しいところです。
右がクローゼット、左のドアがバスルーム。
電話はありますがTVはありません。
残念ながら最新シップと言えども自室でインターネットは使えません。
レセプションで30分間使えるユーザーネームとパスワードをもらい、特定場所で利用します。
ご自身のノートブックはもちろん、備え付けのパソコンが数台ありました。
インターネット利用は30分で40クローネです。
バスルーム。
上のチューブはドライヤーです。
右がシャワールーム、真ん中がトイレ、左が洗面台。
シャワーのお湯は思ったより勢いよく、潤沢に出ました。
出航。
汽笛は和音のようで美しい響きでした。
これは最上階のサンデッキ前方で、ガラス張りの展望デッキに通じています。
サンデッキのワンフロア下にある展望デッキ。

年配者も多いので、寒い外は避けてここで過ごしている人が多かったようです。
私はここで待機して景色が良くなってくるとすぐ外に出るということを繰り返していました。
三方ガラス張りなので視界は良いのですが、ガラスが汚れていて写真は撮れません。
航海途中で窓は洗浄されましたが・・・。
これはサンデッキ後方部。
緊急用のヘリポートにもなります。
360度の視界が得られる唯一の場所で、カメラを持った人が集まって来ます。
しかしここは寒く、長くはいられません。
次から次へと素晴らしい風景が現れるので、寒いけど屋内へ入れません。
この人たちがいる所は風が当たらず、ずっと立っていても平気でした。

私は椅子の手前の壁際で風と冷気をよけながら、ここで最も多くの時間を過ごしました。
ノルウエー北極圏は暖流の関係で冬でもキルケネスでマイナス5℃程度ではないでしょうか。
北米の極北地方のようにマイナス20とか30とかまで下がるようなことはありません。
冬は温暖と言えますが、夏は15℃に届かないくらいの冷涼さ。
最低気温は盛夏以外は10℃を下回り、デッキの凍結、降雪も想定する必要があります。
従って季節を問わず必要なものは、
風を通さないフード付のアウター、防水性・速乾性・滑りにくさを備えた雪道用のシューズ。
あるとよいのはサングラス、デジカメで撮影する方はできれば2個のカメラを。
車椅子をご利用の方もよく見かけました。
さて最初の寄港地、ヴァルドーが見えてきました。
家はとてもカラフルです。
白と青の世界。
色が欲しいんでしょうね、やはり。
1時間くらい停泊します。
外へ出る場合は出る時と入る時に係員にカードキーをかざしてチェックしてもらいます。
雪は純白のパウダースノー。
汚れていなくてとてもきれいでした。
蝶のような形の町。ノルウェー最東端の町です。

風が強く、実際の気温より寒く感じます。

体感温度的には、マイナス10℃といったところ。
雪が結構深く、時々ずぼっとはまります。
ナイキのスノーライトを買って持ってきて心からよかったと思いました。このシューズはどんな悪路でもすぐに乾き、靴下が濡れることがありませんでした。
まさかこんなところでは猫は暮らせまい・・と思いながら歩いていると、
前方に猫。
平然と座っています。
「にゃんじゃ」
さすがの面構え。
同じ船のツアー客達がアークティック・キャットと言いながら通り過ぎて行きました。
イギリス人かな。何にでも「アークティック」を付けて喜んでいました。
ディナーは18:30と20:30の2回に分かれます。
ランチの時に予約しておくと、決められたテーブルが予約されています。
ディナーだけはバッフェではなく、3コースがサーブされます。飲み物は水も含めて有料。
ビールが500円、グラスワインが1,000円くらいでしたが非常に美味しかったです。
トナカイのロースト。量はむしろ日本的。味付けも繊細です。
早朝05:45頃、ホニングスヴォーグ到着。
冬の南行きはエクスカーションが無いので、30分のみの寄港。
天候もホワイトアウトに近く、デッキへ見物しに来たのは数人のみでした。
一列に見渡せる、小さな町。
ヨーロッパ最北端ノールカップへはこの町からバスでアクセスします。
このホニングスヴォーグは厳冬期の最低気温がせいぜいマイナス5℃。
オスロより温かいと言われています。
静かな集落に汽笛が響き渡ります。
細雪が町を包み、とても神秘的でした。
南行きのエクスカーション、ホニングスヴォーグからの「ノールカップで朝食を」は冬は休み。
なので船内で朝食。
こんなところでこんな時期にスイカが食べられるとは。
白い空に白い山。
境目が曖昧なところがまた幻想的でよいです。
でも1日こんな天気かな・・。
濃霧の中に突如ぬおっと現われる陸地。
見えてきました。
さらに小さな集落、ハーヴォイスン。
鉛色の海、真っ白な雪。
デモーニッシュな空もまた見ごたえがあります。
わずか15分の寄港。

毎日こうして物資や郵便物が届けられるのですね。
時間と共に表情を変えていくる海と空。
どんな表情もそれぞれに印象的、圧倒的。
次第に雲が消えていき、切れ間からついに太陽が顔を出しました。
2007年から操業を開始した大きな工場のある島を通り、
人口3万人の大きな街、ハンメルフェストで1時間半ほど寄港します。
この街の急速な成長は、氷の減少と共に火がついた北極海の海底油田開発と深く関わっています。
町には近代的なショッピングセンターがあり、住宅も大きく豊かな印象です。
小さな子どもを連れた若いお母さんもよく見かけまし雇用の拡大により若い世代が沢山入ってきているようです。

不動産は数年で3倍に急騰したと聞きます。
ハンメルフェストを過ぎると、好天に絶景の連続。
デッキから離れることができません。
一段と美しい風景が近づいてきます。

興奮してシャッターを押し続けていると、昨夜充電したカメラが力尽きました。
走ってキャビンへ戻り充電をセットし、もう一台のカメラをつかんで大急ぎで戻ります。
僅かな時間も惜しいほどの絶景の中。
船は15分だけ寄港する、オクスフィヨルドに向かっています。
刻一刻と微妙に移り変わる風景。

サンデッキは人が多くなってきました。
撮ったばかりの風景にまた感動して撮る。
海から徐々に近づいて行く絶景は感動的です。
写真が撮れませんでしたが、入り江を背にして海の方
毎日この風景を見て暮らしている人たちがいるんですねえ。
ノーマークだったこの寄港地。
オクスフィヨルド。
あまりにも美しく、泣けてきそう。
晴天にも恵まれ、今回のルートでも最高の絶景でした。
港の向かいに小さなホテルもありました。 ここでいつか、ミッドナイトサンを眺めて一夜を過ごしたいものです。
和音を発して再び出航。

私達とは違う方向へ向かう客船がありました。 あの船はどこに行くのだろう。
下船の2時間前くらいがチェックアウト時間。
荷物は専用の置き場に預けてラウンジで過ごしていると、アナウンスが入りました。 この船の姉妹シップ、最新型のミッドナイト・ソル号とすれ違うそうです。
デッキに出てみると、互いに汽笛を鳴らしたり、歓声があがります。
なかなかロマンチックな光景でした。
彼方に大きな街明かりが見えてきました。
あと1時間ほどでトロムソです。

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