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スタッフ見聞録

2011.6/20-6/30☆
夏のはじめ、アイスランド半周

ランドマンナロイガルとソルスモルク

※I社のガイドとめぐった南部ハイランド周遊強行軍。

ランドマンナロイガルとソルスモルクを一日で行きたい、ついでにヘンギットルとシンクヴェトリルも・・・はじめ「無理」と言われましたが、そこを何とか、と交渉を続け、ようやくこの日を迎えました。
マッチョな兄ちゃんが時間通りにトヨタのランドクルーザー(多分プラド)で現れました。まずはクヴェラゲルジからセルフォス、ここで北上しルート36をシンクヴェトラ湖に沿って走ります。
写真は世界遺産シンクヴェトリル国立公園にある地球の割れ目ギャウ。
驚異的な透明度を誇る湖でのダイビング・シュノーケリングはとても人気があります。
ここがダイビングポイント。階段が設置してあります。
ここのダイビングは世界ベスト10スポットに数えられています。
南の海のように色とりどりのサカナがいる訳ではありません。
とにかくすごい透明度!と2大陸の狭間を海中で体験するのが非常にユニークで素晴らしいのです。
水温は年間を通じて一定なので真冬でもプログラムは催行されています。
南アイスランド、ゴールデンサークルエリアは概ねこのような景観。
視界がよいのは遮るものがないだけでなく、空気がおそろしく澄んでいるからなのだそうです。
なので実際の距離よりも近くに見え、近くに見えるのになかなか着かない、という状況になりやすいのだそうです。
緑豊かな大地と隣り合わせに、噴火で流れ出た溶岩の跡が混在している感じです。
内陸部に向かうとこんな感じのモノトーンの世界になります。
ランドマンナロイガルへ行く途中、小さいけれど美しい滝、ヒャルパルフォスを通りました。
2つの川が出合って一緒に滝を形作っています。
もう少し見ていたいなと思わせる風景でした。
さてランドマンナロイガルに到着。
あいにく天候がよくなく、視界が悪く周囲の景観が分かりません。
まだ時間的に早いのか、天候が悪いのか、シーズン前なのか、川湯に入っている人はゼロ。
バターカップが沢山咲いています。
ガイドのBくん。ひょっとしてBで始まる名前多い・・・?
30代半ば、独身。大工やコンピューター関連の仕事を経て2年前にガイドに転職したとのことですが、ものすごく知識があって驚きました。
特に数字に強いのにはびっくり。
なかなか触れにくい捕鯨問題なども、率直に意見交換できて有意義でした。
溶岩の間を登って行く人たちがいます。
ひと歩きしてから川湯に入るのかな。
シャワールームと更衣室は近代的な設備が整っていました。
こんな川を幾つも越えて行きます。
観光客のレンタカーがどうしようか困って停車していました。
鮮やかなBくんの川越え運転を見て、同じように何とか渡れたようでした。
慣れない人は絶対レンタカーで来るべきではありません。
ロードマップで「F」で始まる道路はこうした道なので、避けるべきです。
しかしながら、この「F」で始まるオフロードこそアイスランド観光の醍醐味のひとつ。車酔いする方には申し訳ないのですが・・・。
Bくんいわく、トヨタのランドクルーザーは本当によく走るよ。
この日の天候は大きく崩れず、ランドマンナロイガル以降はまずまずでした。
それでも空模様は本当にコロコロ変わります。
これは帰りに撮影したのですが、凄みがあってなかなかいい。
ここからは魔王の領域だよ、って言ってるようです。
ソルスモルクは北部のアゥスビルギを思い出させる、隠れた楽園のような場所でした。
食事や宿泊ができる施設は、周囲の色彩に合わせて木々に埋もれるように建っています。
点在する幾つかのテントもパーキングエリアも、木々の中に半分隠れている感じ。
常に地平線の彼方までまる見えの風景に慣れた後は、とても新鮮。
氷河に削られた険しい渓谷、思わず目を奪われる大きく印象的な岩。
それにしてもこの豊かな植生は・・・!
殺伐とした荒地を走り続け幾つも川を越えた奥地に、ひっそりとこんな場所があるとは想像もつきません。
この辺りは幾つものハイキングコースがあります。次回はぜひ一泊してみたいものです!
ちなみにランドマンナロイガルとソルスモルクを4日で歩くトレッキングは、アイスランド屈指の人気コースです。
ビジターセンターというのかな、コテージを基点に軽く歩けるコースを行ってみました。
まずはこんな感じの登り。
ここは日帰りツアーの人も行く展望コースのようで、ボードウォークが上まで続いています。
登りはじめで振り返ると・・・。
緑の濃淡がきれいです。
テントも見えます。
上の方まで来ると、よりドラマチックな眺め。
赤土の斜面にはルピナス。
曇り空で分かりにくいですが、ソルスモルクを取り囲む3つの氷河の一つ、エイヤファットラヨートクル。
眺望を楽しんだ後、少し回り道をして下ります。
靴になじむ、しっとりした地面はとても歩きやすく、花に立ち止まりながらの楽しいトレイル。
時々小川に中断されますが、例によって迷わないように杭が打ってあります。
ゼラニウム。
意外にも寒さに強いのですね。
名前が分からなかった花。
ここでしか見ませんでした。
何ともシックではありませんか。
帰りに少し渓谷を歩きました。
ここもトロールか何かの住みかという感じがビンビン伝わってきました。
車に乗ってばかりだと気づかない音や気配、道端の花とかを見たり感じたりしながら歩く時間は貴重です。
しかもこんなすごい岩の間を歩くのはめったにできない体験。
運転に忙しかったBくんも、少しゆったりできたかな。
ガイドのBくん、移動時間が長かったので、色んな話をしてくれました。
少し脱線しますが、特に印象深かった話をふたつ。
一つ目は、1783年の大噴火で人口の21%が犠牲になった話。
この時の噴火では成層圏まで上昇した塵が北半球を覆い、日照不足による冷害で各地に飢饉がおこり、フランス革命の遠因となったとも言われています。人口の5分の1、羊80%、牛と馬の半数が犠牲になりました。
大体220年前の話ですが、ヨーロッパで100年や200年は昔のうちに入りません。つい最近、1996年にも東の大氷河で大きな噴火があり被害が出たり、そして去年の噴火でヨーロッパ便が大幅に乱れたのはまだ記憶に新しい出来事です。
アイスランド人は日本の地震同様、頻繁な噴火と隣り合わせに生きていて、多少のことでは動じない国民性と言われています。
噴火の度に道路や橋が壊れ遮断され交通も乱れますが、迂回したり別の空港を使ったり臨機応変に対応し迅速に修復し不屈の精神で復活します。
噴火のリスクは避けられないものの、地熱をフルに活用した暖房システムや小さな町にもある温泉プール、地熱利用のクリーンエネルギーは世界一クリーンとも言われる水と空気の恩恵をもたらしています。
まさに、自然との共存・・・!
1783年、26kmに渡り13の火口が生まれた大噴火の跡、ラキ火山。ヴァトナヨートクルの西側に位置します。
もうひとつは救急体制の話。
ひとたび都市部を出れば、常に自然の脅威にさらされるアイスランド。
命綱である車のメンテナンス、オフロードの運転技術、修理等に関し、アイスランド人の車に関するレベルは世界のトップクラスと言えるでしょう。
多少の故障なら基本的に自分で直すのが当たり前。でも、慣れない外国人等が遭遇したトラブルやシリアスな事故、或いは車の問題に限らず、急病や崖崩れ、洪水などなど・・あらゆるトラブルに対応するために、アイスランドではボランティアから成るレスキュー・システムがあります。
国民の20%が登録しており、さらに8%が救急医療の資格を持っているそうです。必ずしも病院や警察等に近い場所で起こるとは限らないトラブルに対し、国民同士が助け合うシステムは、アイスランド人の誇りです。
だからアイスランドは世界一安全な国なんだ、とBくん、誇らしげに語りました。
そんな風に自分の国のことを自慢できる彼が、とても羨ましく思いました。

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